八女市街地方面から星野村に入って間もなく、県道沿いにある神社です。
門を通ると、赤い欄干、緑の苔に覆われた石積み、生命力溢れる木々。まるで別世界に入り込んだかのような、独特な雰囲気に包まれます。拝殿のすぐそばにどっしりと構える大きな木は、樹齢600年を超える大銀杏です。懐良親王お手植えであると伝承されています。社殿と大銀杏のサイズ感や、背後の美しい山並みも見所です。
『小野神社』
御祭神は彦火々出見命(ヒコホホデミノミコト)・菊理姫命(ククリヒメノミコト)
小野氏は鎌倉御家人の一人で、弘安の役(西暦1281)では小野大進頼承(だいしんらいじょう)が鎌倉より下って大活躍した様子が「蒙古襲来絵詞(もうこしゅうらいえことば)」の中にも描かれています。しかしその後、霜月騒動で失脚して所領を失います。その子三郎四郎頼時とその母比丘尼如心も鎌倉を追われ西国を目指す途中、嵐に遭うも一心に箱根権現の加護をたのんで祈り助かったといいます。ほどなく父頼承の疑いも晴れ、この地を与えられました。頼時は報謝のため箱根権現を勧請(かんじょう)し、子孫繁栄と村里平穏を祈る氏神としました。時に嘉歴2年(1328)のことと伝えます。なお南北朝時代には征西将軍宮懐良親王が御在所を構えられたこともあり、お手植えと伝える大銀杏や墨跡が残っています。(平成30年 八女市教育委員会)